Curing
Urban Amnesia.

都市の健忘症への、処方箋。

PHILOSOPHY
Philosophy

製材とは、都市と山を
縫い合わせる外科手術である。

私たちは今、二つの巨大な「停滞」の間に立っています。一つは、南大阪の山の停滞です。かつて先人が植えたスギやヒノキは、使われる時を待ちながら巨大化し、手入れされぬまま山を暗くしています。輸入材に押され、「切っても金にならない」と放置された木々は、もはや資源ではなく、土砂災害のリスクとなりつつあります。

もう一つは、都市の住宅の停滞です。高度経済成長期に大量供給された「ストック住宅」は、老朽化し、空き家となり、街の新陳代謝を阻害しています。スクラップ・アンド・ビルドの時代は終わりましたが、古い家をどう活かせばいいのか、都市はまだ答えを持っていません。

山は荒れ、街は澱む。この二つの問題は、実は根っこで繋がっています。それは、山と街の間にある「血流」が切れているということです。だからこそ、私たちは「製材(Sawmilling)」という行為に執着します。

多くの人は、製材を「丸太を四角く切る作業」だと思っています。しかし、私たち田中製材所の定義は違います。製材とは、山の荒々しい生命力を、都市が受け入れられる形に「翻訳」することであり、古くなった街並みに、新たな時間を継ぎ足す「編集」です。私たちが丸太に刃を入れる時、それは単なる加工ではありません。山と都市の間にある血栓を取り除き、再び命を巡らせるための外科手術を行っているのです。

Identity

Neo-Nekoya / 現代の猫屋

かつて「猫屋」と呼ばれた人たちがいました。エリートの丸太屋が見向きもしない木の根や曲がり木を拾い集め、そこに「侘び寂び」という美を見出したパンクな精神を持つ集団です。私たちはその精神を現代に継承します。都市に捨てられたものを、未来の宝に変える。それが私たちのアイデンティティです。

Scavenger 資源救済者

大手が「規格外」として弾く木、虫食いの穴、リノベーションで出る廃材。これらはゴミではありません。均質化した現代社会に、唯一無二の物語(コンテキスト)をもたらす「宝の原石」です。私たちは都市の森を歩き、見捨てられた資源を救い上げるスカベンジャーです。

Shimatsu 始末

大阪商人の精神「始末」。それは単なるケチではなく、物の命を最後まで使い切るという高い倫理観です。木を切り倒した以上、その皮一枚、粉一粒まで責任を持つ。消費のあとに残された負債(廃棄物)を引き受ける覚悟こそが、私たちのプライドです。

Context Hacker 文脈の編集

物理的なスペック(太さや綺麗さ)だけで価値を決める時代は終わりました。私たちは「傷」を「歴史」へ、「廃材」を「エネルギー」へと定義を書き換えます。コンテキスト(文脈)を編集することで、捨てられるはずだったものに、新しい命を吹き込みます。

Living Lab

現在進行形の実験室

私たちは完成品を並べるだけの工場ではありません。分断されたサプライチェーンを繋ぎ直すため、日々泥臭い実験を繰り返しています。これは商品カタログではなく、未来への実践レポートです。

01

Pure Extraction / 純白の抽出

皮むき

一本ずつ、手作業で樹皮を剥ぐ。

通常の製材工程では、効率を優先して樹皮がついたまま丸太を挽きます。その結果、オガ粉には黒い樹皮や土が混ざり、「産業廃棄物」として処理される運命にあります。これは森の恵みの損失です。

私たちはこの常識を疑いました。「挽く前に、剥けばいいのではないか?」と。

私たちはチェンソーピーラーを使い、一本一本、料理人が大根の皮を剥くように樹皮を取り除きます。当然、時間はかかります。しかし、その手間の対価として得られるのが、雑味が一切ない「純白のオガ粉」です。これは、都市のペットや競走馬の呼吸器を守る、食品グレード並みの安全性を誇る敷料となります。

OUTPUT:
・都市のペット・競走馬のための最高純度敷料
・森の香りを真空パックした、生搾りのアロマ製品
02

Thermal Energy Swap / 地域熱交換

ビニールハウス

農家のハウスが、乾燥庫に変わる夏。

太子町の農家は、冬場のボイラー燃料(重油)の高騰に苦しんでいます。一方、製材所は、夏場の木材乾燥にかかるエネルギーコストに悩んでいます。この二つの「痛み」は、地域内で交換(バーター)することで解決可能です。

Winter: 私たちは、製材端材や樹皮をブレンドしたチップ燃料を農家へ届けます。化石燃料よりも安価で安定した「木の熱」が、作物を温めます。
Summer: 農家から空いたビニールハウスを借り受けます。そこは夏の日差しで50度を超える、天然の「木材乾燥庫」となります。

OUTPUT:
・農家の燃料費半減と、製材所の乾燥コストゼロ化
・化石燃料に依存しない、南大阪独自の「熱の自給圏」
03

The Shimatsu / 始末の封じ込め

ブリケット

負債をエネルギーに変える黒いブロック。

リノベーションの現場で、古い床を削る時。そこから出る粉には、過去に塗られたウレタン(プラスチック)や化学塗料が含まれています。これを「木粉だから」といって土に還すことは、未来への汚染であり、不始末です。

私たちは、この「汚染された粉」を決して逃しません。専用の油圧式ブリケットマシンに投入し、高密度に圧縮することで、物理的に封印します。

固められたブロックは、もはや廃棄物ではありません。銭湯や工場のボイラーで、高温で完全燃焼されるべき「エネルギー資源」へと生まれ変わります。出したゴミに責任を持つ。それが私たちの「始末」です。

OUTPUT:
・マイクロプラスチックの飛散防止
・廃棄物処理コストの削減と、代替燃料の創出
For Business

サプライチェーン・リカバリー研修
The Ethics of Material

御社のビジネスは、どこから来ていますか?
クリック一つで物が届く時代、私たちは「過程」を忘れ、「結果」だけを消費する健忘症にかかっています。しかし、根のないビジネスは脆いものです。

この研修は、観光やレクリエーションではありません。
大阪市内から1時間。南河内の山に入り、50年の時間を肌で感じ、自らの手で皮を剥き、火を焚く。圧倒的な「物質の重み」と「不可逆な切断」を体験することで、失われた身体性と全体観を取り戻す。
これは、次世代リーダーのOS(基本思想)を書き換えるための、没入型プログラムです。

導入実績:

H2O Retailing / NOMURA Co., Ltd.

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