地域材活用の窓口 ―― その木の、行き先をつくる

伐採の日は決まっているのに、使い道が決まっていない。

そういうご相談を、よくいただきます。
道路の工事で支障になる木。台風で倒れた記念樹。建て替えのために伐るキャンパスの大木。山で伐ったものの、規格から外れて行き先のない大径材。どれも、伐る日は決まっています。決まっていないのは、そのあとです。
木は、伐ったその日から乾きはじめます。置き方を間違えれば割れ、雨に濡らせば染みます。かといって、使い道が決まるまで待ってくれる場所は、そう多くありません。だから多くの木が、決まらないまま処分されていきます。
私たちは大阪府羽曳野市の製材所です。1893年(明治26年)の創業から、山から出てきた木を町の暮らしに渡す仕事を続けてきました。
木を挽くだけではありません。どの木が何になれるかを見立て、産地から材を調達し、決まるまで預かり、加工し、作り手を集め、現場に据えるところまでをお引き受けしています。設計事務所やデザイナーの図面を形にすることも、まだ図面がない段階から用途を一緒に考えることもあります。山と現場のあいだで抜け落ちがちなことを、通すのが私たちの持ち場です。

こんなご相談をお受けしています

伐った木を、捨てずに活かしたい

支障木、街路樹、記念樹、公園や学校の木。伐採は決まっているが、活用の方法と段取りが分からない。

その土地の木で、記念になるものを作りたい

ノベルティ、記念品、木育の教材、什器、ベンチ、銘板。数十個から数百個まで。

公共空間や店舗に、地域の木を使いたい

ベンチやサインなどの屋外什器、内装の木質化、家具、遊具。どの木がどれだけ確保できるか、いつまでに必要か、から一緒に考えます。

設計は決まっているが、木の調達と製作を任せたい

図面はあるが、どの産地のどの材が使えるか、誰に作らせるか、どう据えるかが決まっていない。

山の木の出口が見つからない

高齢級材、大径材、規格外の材。建築用材の物差しでは値がつかない木にこそ、別の使い道があります。

この木がどこから来たのか、記録として残したい

どの山から、いつ伐られ、誰が挽き、どう乾かしたか。来歴書として一枚にまとめてお渡しします。

これまでの仕事

御堂筋ほこみちユニットベンチ(大阪市)

2025年度グッドデザイン賞受賞対象「御堂筋ほこみちユニットベンチプロジェクト」
大阪市のメインストリート・御堂筋の歩道空間に、常設可能なストリートファニチャーとして設置されたユニットベンチです。事業主体は一般社団法人ミナミ御堂筋の会と大阪市、設計は株式会社GK設計。
関わりは2022年の社会実験「御堂筋チャレンジ」からです。長堀通から道頓堀川までの側道閉鎖区間と、道頓堀川からなんば駅前までの歩道空間に滞留空間をつくる社会実験で、当社は材の調達から製作・設置までを一貫して担当しました。
GK設計の図面を受けて、大阪府産の杉材を調達し、製材・加工。テラゾー製ベンチに取り付ける木製天板、プランター、サイン用のルーバー材が当社の担当範囲です。製作は当社の拠点タリモールに工房を構える木工チームが担い、サインの製作はsumikovに依頼しました。
設置は、歩行者の通行を確保したまま行う一晩のみの夜間工事でした。当日の手順と人員配置を事前に設計し、木工・大工・施工の職人総勢11名を集めて臨みました。設置を終えると同時にベンチは使われはじめ、設計が意図したとおりの座られ方をしていました。
材の手配、加工、作り手の割り振り、当日の段取り、そして工程の隙間に落ちるものを拾うこと。設計と現場のあいだにある仕事を、通しで引き受けています。
社会実験での検証を経て常設化にあたっては越井木材工業株式会社が加わり、現在のユニットベンチとして御堂筋に定着しています。グッドデザイン賞の審査委員からは、様々な実証実験と工事が並行し周囲の街も変化していくなかで、その変化に丁寧に対応するベンチであること、小さな取り組みながら御堂筋の変化をしっかりと支えていることが評価されました。当社の役割は、同賞のクレジットではデザイナー欄に記載されています。
受賞ページ(GOOD DESIGN AWARD)へのリンク〕

北播磨産ヒノキの木育打楽器(兵庫県)

兵庫県北播磨県民局「北播磨産木材を活用した製品開発事業」に令和2年度の事業者として採択され、北播磨の高齢級ヒノキを使った打楽器「リズムスティック/リズムベル」を開発しました。木育の教材として、また名入れ刻印に対応した自治体・企業のノベルティとして設計しています。

公共施設・教育施設の床の再生

保育園、学校、庁舎などの木質フローリングを、張り替えずに研磨と再塗装で再生する工事をお受けしています。
詳しくは〔床リノベのページ〕をご覧ください。

ものづくりの拠点「タリモール」

大阪府南河内郡太子町の旧・森田製材所を引き継いだ拠点です。木工作家、家具職人、デザイナーが工房を構え、製材所の設備と隣り合わせで仕事をしています。必要なときに、必要な作り手を集められるのは、この場所があるからです。

お引き受けできること

案件によって、必要とされる範囲は変わります。材だけのこともあれば、企画から設置まで通しのこともあります。どこからどこまでをお任せいただくかは、ご相談のうえで決めます。

内容

見立て

現地で樹木を確認し、樹種・寸法・状態から何に使えるかを判定します。用途と数量の対応表としてお出しします。

調達

産地から材を手配します。


地域を指定しての調達、樹種や等級の相談にも応じます。


保管

使い道が決まるまで、製材して寝かせます。


太子町の拠点に土場と保管場所があります。


製材・乾燥・加工

丸太から板材・角材へ。オーダー寸法に対応します。


製作チームの編成

木工、家具、看板、金物。案件に必要な作り手を集めて体制を組みます。


設置・施工の段取り

屋外什器の据え付け、夜間・短時間での施工計画、人員の手配。


全体の調整

設計者・発注者・作り手・施工者のあいだに立ち、材と工程と納期を通します。


来歴書の発行

産地・伐採・製材・仕上げの記録を一枚の証書に。


調査・報告書の作成

現地調査の結果、活用方針、概算費用を文書にまとめます。


稟議・庁内説明にお使いいただけます。


視察・研修の受け入れ

製材の現場と、木が製品になるまでの工程をご覧いただけます。

進め方

1.ご連絡(無料)

お電話かフォームで、状況をお聞かせください。樹種・本数・おおよその太さ・伐採の時期・現在の保管状況が分かると、初回でお答えできることが増えます。写真があれば、なお助かります。

2.方針のご提案

お聞きした内容から、考えられる使い道と、その先の段取りをお伝えします。この段階までは費用をいただきません

 
3.現地確認・調査(有償)

実際に木を見ないと決められないことがあります。樹種の確定、内部の状態、搬出の可否。ここから先は、お見積りをお出ししたうえで進めます。

4.お見積り・ご契約

作業の範囲、期間、費用を書面でお出しします。段階を分けてご契約いただくこともできます。

5.実施

搬出、製材、乾燥、加工、製作、設置。工程ごとに記録を残し、来歴書としてお渡しします。

 

費用について

はじめのご相談とご提案は、無料でお受けしています。現地の確認、調査報告書の作成、用途の設計、製作と施工の段取り、全体の調整など、時間と責任を伴う業務は有償でお引き受けし、着手前に必ずお見積りをお出しします。

よくあるご質問

Q. まだ計画が固まっていない段階でも相談できますか。

むしろ、その段階でご相談いただくほうが選択肢が多く残ります。伐採の方法や玉切りの長さが決まる前に一度お話しいただけると、使える木が増えます。

Q. 設計事務所です。図面はありますが、材と製作先が決まっていません。

その形でのご依頼を多くお受けしています。図面から必要な材を割り出し、産地と樹種を提案し、製作先を手配し、納期に合わせて工程を組みます。設計と現場のあいだを通すのが、私たちの仕事です。

Q. 設置工事まで対応できますか。

はい。屋外什器の据え付けや、公共空間での設置もお受けしています。御堂筋の社会実験では、歩行者の通行を確保したまま一晩で設置を完了する必要があったため、当日の手順と人員配置を事前に設計し、11名の体制で臨みました。時間と場所に制約のある現場ほど、段取りが仕事の中身になります。

Q. 対応できる地域はどこまでですか。

大阪府羽曳野市を拠点に、近畿一円でお受けしています。それ以外の地域は、運搬の条件次第でご相談ください。〔※実態

Q. 木が数本しかないのですが。

一本からご相談いただけます。本数が少ない場合ほど、何を作るかで価値が変わります。

Q. 補助制度は使えますか。

自治体によって、森林環境譲与税を財源とした木材利用・木育の事業や、県単独の木質化補助などが用意されている場合があります。制度の可否はご担当の部署でのご確認が必要ですが、申請に必要な仕様書・数量・見積の形でお出しすることは可能です。

Q. 産地は問いませんか。

問いません。その土地の木を、その土地で使うことに意味があると考えています。私たちの地元は大阪・南河内の石川流域ですが、他産地の木の活用のご相談も同じようにお受けしています。

Q. 木を預かってもらえますか。

はい。使い道が決まるまでの保管をお引き受けします。ただし、置きっぱなしと寝かせることの違いは記録の有無だけです。お預かりする木には、いつ・どこから来て・どう挽いたかの記録を付けます。

ご相談の入口

有限会社田中製材所 〒583-0851 大阪府羽曳野市西浦3-2-25 TEL 072-957-0707(平日9時〜17時) 〔お問い合わせフォームへのリンク